企業の存続・・・

 経済不況の長期化のみならす、技術革新の目覚しい今日、企業はその存在意義をかけて常に変化していきます。時に不採算部門を清算し、採算部門を他に譲渡し、又は独立させ、そして、必要に応じて合併・分割し、場合によっては企業をいったん整理・清算し、そして再生する。公共の利益に貢献し、そこから利潤を追求すべく絶えず変化し続ける企業。

 一方、その企業の経済活動を担うべくその重要な要素として活躍する「人」がいます。時に取締役であり、正社員であり、パートタイマーであり、業務請負者であり、派遣労働者であり・・・、立場は様々ですが有限な存在としての「人」がそこに存在します。委任契約、雇用契約、請負契約、労働者派遣契約と様々な形でのかかわりあいがあり、一経済主体として存在しますが、経済的地位も立場も様々です。

 今、労働者を取り巻く法環境が揺れ動いています。労働者の労働条件の最低限を規律する取締り法規である労働基準法も、取締り法規としてはその機能を発揮しても、労働者が直面する企業の変化に伴う労働環境の変化には対応できない状況が続いています。つまり、柔軟に変化する「器」である企業に労働力を提供する経済主体として、「人」がこれからどのように法的にかかわっていけばよいのか、その指針がはっきりとしないままなのです。これに伴い、労働基準法を行政的な取締を目的とする法律と、企業と労働者の労働契約のあり方を提示する法律に分化する動きも出ていますが、まだ詳細ははっきりしていません。

 企業の「人」を取り巻く法

 今後、働く「人」は企業とどのようにかかわっていけば良いのでしょうか。また企業は「人」をどう処遇していけばよいのでしょうか。「信頼関係を基礎とした継続的契約関係」である雇用契約の理解は、その経済的劣位におかれた労働者を保護する目的と企業の経済活動の自由との調和の上にたって、事実上、判例の積み重ねでなされてきました。また新しい労働者形態である派遣労働者も、その存在がメジャーになってきている一方で、雇用労働者との共存の仕方に問題が提起されることも多くなってきています。企業を規律する法である商事法(商法)などとともに、企業にとって重要な「契約」主体である働く「人」を取り巻く法のあり方を検証していきたいと思います。

 次回から、企業の「人」を取り巻く法分野のみならす、労務管理のあり方を含めて企業の変化と人とのかかわりあいを考えていきたいと思います。次回は「労働契約と企業の経済活動の自由」をテーマに話を進めていきます。 

企業再編と人 @